高松宮殿下記念世界文化賞の2018年(第30回)彫刻部門受賞のニュースを聞いた時、インスタレーションやパフォーマンスも彫刻の一種と言われると、そうなの?みたいな違和感はありましたが、本来、表現にカテゴリなんかどうでもいいですよね。
今回の個展では、霧のインスタレーションは屋内と屋外の2箇所で体験できます。まず屋内。
1つの部屋が薄い幕で仕切られ、幕の向こう側から鳥が飛翔する影絵が映し出されるのと並行して霧が充満していきます。そして鳥の輪郭がぼやけてきたところで幕が降ろされ、鳥を見ていた我々のほうに霧が雪崩れ込んできます。
うわーっ周りが見えないよー、という程ではなく、インパクトが 銀座の時より弱いのは、会場の部屋を暗くしており、安全のためだということを、この後で観た屋外展示で気付かされることになります。銀座のギャラリーは周囲がガラス張りで光が入る会場だったので、思い切り出来たのでしょう。
一方、屋外では広場の人口連滝に噴出装置が設置されており、派手だけど普通の公園の噴水とあまり変わらんのでは、みたいに思っていたところ、
微かに人影が見えるのが分かるでしょうか。実は保育所のお散歩と思しき団体(保育士さん2名+園児数名)が広場に居て、霧が濃くなってきて足元が見えづらくなった時に、人口連滝の水が溜まる場所の緩い傾斜(そういう造りの噴水、よく見かけますよね)でお子様が転んで水浸しになってしまったのです。転んだといっても座り込んだ程度で怪我はなかったのですが、暗い部屋で人が接触したり転倒したら危ないなあ、ということに気付かされました。
念の為に申し添えますが、当展覧会の屋外展示に安全不備があるという話ではありません。公園の噴水でお子様がはしゃいで転ぶのは普通の光景ですし、大人も何もないところで転ぶことがあります。自然の霧で視界不明瞭になるのも普通のことです。寧ろ、中谷さんのインスタレーションは、日常が不自然になっていることへの「抵抗」であり、この展覧会のタイトルそのものなんですよね。
前回来たのは4年前だったか。