「作品のない展示室」(世田谷美術館)
日本の美術館は、常設展示より企画展示の比重が高い傾向があり、特に海外からの作品借用を主に構成を企画した展覧会は、今年のダメージは相当なものだと思われます。こういう企画は最初にやったもの勝ち、みたいなところもありますが、英断でもありますよね。
今回の企画展の趣旨は、建築家・内井昭蔵(1933-2002)が設計した、世田谷美術館(1986)という器(とアーカイブの一部)を鑑賞してもらおう、というものです。
世田谷区立世田谷美術館は、都立砧公園という緑地の一角に建てられました。設計者の内井も、コンセプトに「公園美術館」を挙げており、多くの窓が設けられていたことが、この企画を成立せしめた要因になったようです。
こうやって展示室を眺めていると、「あれ、今自分は何を観ているんだろう」という気分に囚われます。勿論、展示室を観ているのですが、いつの間にか、窓越に外の風景を眺めていて、それって、リアル『窓展』じゃないか、と気付く訳で。
実は国立近代美術館で今年開催されていた『窓展:窓をめぐるアートと建築の旅』も観に行っていたのですが、諸事情でブログエントリーを出しそびれてました。
展示物が何も無いので床に照明の光が落ちてきます。
展示物の無いショーケースの明かりもそのままの形で床を照らしていました。