アニエス・ヴァルダ「Bord de Mer」(原宿 BLUM & POE)

常に人混みが激しい原宿駅前に、暑さが加わると、体力の無い人にとっては地獄のようです。

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 しかしながら、フランスの映画監督、アニエス・ヴァルダ氏の初個展となる会場は、駅前に面する喧騒激しい表通りにありながら、看板も無く、テナントビルの隙間のような奥まったところにあります。

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 展示内容は、インスタレーションの《Bord de Mer》(2009) の他、写真が数点。

《Bord de Mer》は、正面と、少し傾けた正面手前の床面の2面に、海の光景をプロジェクターで映し出したもの。床面の手前は砂が敷いてあり、この写真では砂に殆ど光が当たっていませんが、実際に会場で見ると、投影部分とシームレスな明るさになっており、箱庭にリアリティが加えられています。

 入室した時、観覧者は自分一人だけで、静かな空間に波の音だけが聞こえてくる状態で、先程前の喧騒が嘘のような心地よい静けさがありました。

 何か何処かで観たような…と気になっていたのですが、鈴木康広氏の《波打ち際の本》だったかな?と(あれは全くコンセプトが違うのですが)。

 原宿は混んでいて嫌だなあと思っていましたが、片時の落ち着いた時間を過ごすことができました。

AGNÈS VARDA | Blum & Poe