「電線絵画展-小林清親から山口晃まで-」(練馬区立美術館)

「こんな企画が通るのは、力を持った誰かの陰謀だ」

一緒にきた友人は、展示室を出た後にそう言った。

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 通常、電線、電柱は美的景観を損ねる存在として忌み嫌われ、そこに存在する筈なのに描かれない存在なのですが、この展覧会は、新しい時代のギミックとして組み込まれたもの、原風景として描かれたもの、積極的に電線、電柱を題材にしたもの等、様々な理由で描かれた電線、電柱の日本画や現代美術が展示されています。

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 図録より、左が川瀬巴水「浜町河岸」(1925)、右が吉田博「東京拾二題 隅田川」(1926)。同時期の隅田川沿岸を描いているのですが、川瀬が丁寧に描いている電柱を、吉田は排除しています。フムフム、というより、この展示チョイスが凄い。

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 同じく図録より、左2点ともに、浅井閑右衛門「電線風景」(1925)。「ハイウェイのジャンクションのよう」とキャプションに添えられていましたが、本当に同じ感想です。「××萌え」のような言葉も、それを商売にする人も、あまり好きではないのですが、電線に魅入られた作家が過去にも居たのか、という発見は感慨深いです。

 この企画展、錦絵や水彩画、版画、油絵から現代美術のインスタレーション山口晃のコミックの原画まで、網羅が半端じゃないです。展示室を出て、自分は思わず「変な人がたくさん居て楽しいなあ」と漏らして、一緒にきた友人と思わず笑ってしまいました。

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 美術館の前は小さな公園になっていて、大小の動物がたくさんいましたが、とりあえず仲良し猫ベンチ。

 美術館を出て、どこかで食事を、と思ったのですが、安全な店を探すのは難しかろうということで、そのまま解散。難しいですね。

「電線絵画展-小林清親から山口晃まで-」 | 展覧会 | 練馬区立美術館

 

今週のお題「祝日なのに……」